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Hitachi

日立グローバルライフソリューションズ株式会社

02 Project Story キッチン・家電

Project Story02 Project Story キッチン・家電

TEAM INTERVIEWTEAM INTERVIEW

多様化を続けるユーザーのライフスタイルに対応すべく
冷蔵庫の自由度を高める「ぴったりセレクト」に挑む

品質保証や設計に従事した3名が、冷蔵庫の引き出しの温度設定を
選べる新機能を搭載させるまでに直面した苦難について語ります。

Quality AssuranceQuality Assurance品質保証

武関 峻矢
品質保証
武関 峻矢 SHUNYA BUSEKI
冷蔵庫品質保証課
2011年入社
工学部 学際先端システム学専攻修了
※所属は2019年4月時点

前向きな仲間がそろっているから
妥協のない高機能製品を開発できる

日立グローバルライフソリューションズでは、他の製品同様、冷蔵庫も毎年新たな製品を開発・販売しています。2019年向けの新製品開発にあたり、新たに搭載することになったのが、「ぴったりセレクト」機能です。これは、冷蔵庫下部に配置されている2つの大型引き出し室の温度設定を、ユーザーが設定できるというもの。昨今では家族構成やライフスタイルの多様化が進んでいるため、どのような食材を・どこに・どれだけ収納したいのかは、世帯によって異なります。このようなニーズの細分化に対応できるような製品を開発しようとなったわけです。ちなみに従来品は、上の引き出し室が冷凍庫で、下の引き出し室が野菜室になっています。冷気は上から下に降りるものという自然の摂理を前提にしていたのです。しかし今回の新製品では、上が野菜室で下が冷凍庫など、上の引き出し室の温度のほうが下より高くなるような使い方にも対応しなければなりません。従来品よりはるかに高いレベルで、各引き出し室内の温度を管理できるようにする必要があったのです。さらにいえば、大型引き出し室で、広いスペースをまるごと温度設定を変えることができるのは、今までに経験したことのないチャレンジでもありました。テーマが決定した時点で難航が予測されたため、通常は3段階の開発プロセスを、4段階に引き上げて臨みましたが、今回は想定以上に難易度が高く、トライアンドエラーを繰り返したことで、開発プロセスは最終的に7段階まで増えました。
なお、私自身のミッションは、一般のお客様が安心して日々使用できるよう、製品の信頼性を高めることです。今回の開発課題は、上下2つの引き出し室で、「冷凍」と「冷蔵」を自在に組み合わせられるようにすることです。試作機でさまざまな数値を計測し、引き出し室内の温度を求める数値にするために必要なファンの回転数や、冷気を送り込む風路の構造などを検証していきました。温度管理では4モード(上下×冷蔵冷凍の組み合わせ)を想定していましたから、試験や計測の回数も従来品の4倍。そのような状態であっても、開発に充てられる期間は従前と同じです。日立製作所の研究所にアドバイスを求めて新たな計測器を導入したり、部署内の仲間にサポートしてもらったりと、さまざまな対処法を実践していました。思うような計測結果が得られなかった場合は、機能制御用のソフト開発セクションや設計セクションに変更を依頼しますが、特に途中で構造を改変することになった場合などは、何種もある試験をすべて最初からやり直さなければなりません。私だけでなく関係者全員で試行錯誤を繰り返していました。それでも、誰もが前向きさを持ち続けていて、都度、積極的に改善案を考えてくれるんです。頼もしい仲間がそろっているのだということに、改めて気づきました。
今回のプロジェクトを通じ、開発における新たなアプローチ法を確立できましたし、より良い製品にするための課題も見つけました。今後の新製品開発にも、より高いモチベーションをもって臨みたいと思っています。

00 Project Story キッチン・家電

Desing設計

平子 貴之
設計(扉・容器)
平子 貴之 TAKASHI HIRAKO
第一設計部
2012年入社
工学部 機械・航空工学学科修了
※所属は2019年4月時点

問題の原因特定・対策考案を通じて
冷蔵庫開発に必要な知見を深める

私は、主に冷蔵庫の扉部分の設計を担っていますが、今回の開発プロジェクトのテーマは、今までに経験したことのないチャレンジの新たな機能付加です。扉部分に限定せず、さまざまな実験・検証に関わることになりました。
開発中に直面した最大の障壁は、引き出し室を野菜室などの冷蔵モードにした際、求める温度より低くなってしまったことです。対策を施す必要があるのは明白ですが、従来の測定法では原因を特定できませんでした。途方に暮れているときにチームで見つけ出した答えが、各部の温度を可視化するサーモグラフィや、冷気の流れを可視化するスモークマシン、引き出し室を閉めたまま内部の様子を確認できるファイバースコープなどの使用です。従来は使ったことのない計測機器や新たな使い方を採り入れたことで、原因を特定することができました。引き出し室の上下や背面にある隙間から冷気が余計に侵入してしまっていたのです。さらに、皆で協議して、3D測定器を使用。従来は、冷蔵庫内にモノを入れたときの外形の変形度合いをチェックするために使っていた機器ですが、これを引き出し室の構成部品の測定に使いました。すると、部品のなかに、実際の寸法が設計上の寸法から1~2mmズレているものがあることが判明しました。ただしこれは、部品の製造工程では解決できないような誤差ですし、従来品では機能に影響しなかったレベルの話です。改めて、今までは問題にならなかった誤差すら許されない、シビアな課題に挑んでいるのだと再認識させられました。こうして原因を特定した私たちは、対策を考えることになりました。ひとつが、ヒータに通電し、この熱と侵入してくる冷気の冷たさを相殺という方法。もうひとつが、引き出し室を組み立てる際にシール材で隙間を埋め、冷気の侵入を防ぐという方法です。前者は、制御ソフトの設定変更だけで済むため、開発コストや製造工程を増やさずに済みますが、消費電力が増えてしまいます。一方、後者は、消費電力が増えない代わりに、製造工程が増えることになります。製造セクションなども交えて協議した結果、隙間が大きな部分についてはシール材加工を施し、隙間が小さな部分はヒータの通電でカバーするという折衷案で解消することになりました。それまでの私は、開発段階で問題が生じた際、対処法をひとつ考えれば解決につなげられていました。しかし、今回のような難題に直面した場合は、複数の案を挙げたうえでメリット・デメリットを比較検討する必要もあるんですね。とても勉強になりました。
冒頭で触れたとおり、普段は扉の設計に関わっていますが、今回のプロジェクトでは風路に関する知見を深めることができました。この経験で、ひとつの部品・機能が、想像していた以上に他の部分にさまざまな影響を及ぼすのだと知りました。今後は、扉以外の設計も担当することで、よりよい冷蔵庫づくりに貢献していきたいと思っています。

00 Project Story キッチン・家電

Desing設計

服部 圭介
設計(機能設計)
服部 圭介 KEISUKE HATTORI
第一設計部
2014年入社
理工学研究科 機械工学専攻修了
※所属は2019年4月時点

理論値の実現だけにとらわれるのではなく
かんしてものごとを考えることが大切

冷蔵庫に付加する機能の設定や、実現のために必要な仕様の設計などが私の担当領域になります。このため、今回のプロジェクトでは試作機をつくる前の事前検討段階から関わっていました。
2つの引き出し室の用途を選べるようにするためには、求める温度設定に応じて、取り込む冷気の量を調整する機能が必要になります。そこで、引き出し室の奥にダンパーという窓を設け、ダンパー部に取り付けたフラップの開閉によって、冷却器で発生させた冷気の取り込み量を制御することにしました。既に紹介されているように、最大の試練は、ダンパーの新設やフラップの制御だけでは求める温度にできなかったことでした。冷凍モードで使うぶんには問題ないのですが、冷蔵モードにしても、なかに入れたものが凍ってしまうほど冷えてしまうことが発覚したのです。引き出し室を組み立てる際に生じるわずかな隙間から冷気が侵入してしまうことが原因だったため、当初の私は「ヒータの熱で解消すればいい」と、短絡的に考えていました。しかし実際には、隙間の近くは冷えすぎてしまう一方で、隙間から離れた箇所では求めるとおりの温度になっているなど、同じ引き出し室内で温度にバラつきが生じていました。ヒータを使うだけでは、熱が当たる場所によっては食材を傷めかねないのです。そこで、引き出し室の部品同士の隙間を埋めるシール材加工も含めて考えることになりました。製造工程を増やすことによる時間やコストの問題、ヒータの熱で制御する場合の消費電力の問題など、多種多様な要因を視野に入れ、どのような手段がベストなのかを突き詰めていく過程は、文字通り試行錯誤の連続でした。開発に携わっていると、ついつい目の前の試作品の性能を理論値に近づけることにとらわれてしまいがちですが、安定的に量産できるような構成、販売に値する品質などを実現させるところまでが私たちのミッション。このプロジェクトを通じて、視野を広く持つこと、一般のユーザーが使った場合にどう感じるのかという基本を常に念頭に置くことの大切さを改めて学べました。また、困難な問題に直面しても、みんなの知恵と力を結集すれば何とか克服できると実感できた点でも、貴重な経験でしたね。上で登場している2名の先輩が、ご自身の担当領域外でも協力してくださったことをはじめ、日立製作所の研究所や、他の製品の開発にあたっている他事業部の社員なども、快く相談に乗り、ときには栃木事業所まで足を運んでくれました。多くの人の協力のおかげで、今までに経験したことのないチャレンジを無事に完遂できたのだと思います。
毎年進化している冷蔵庫ですが、まだまだ実現できていない潜在ニーズは山積だと思いますし、私自身にもいくつかアイデアがあります。今後も、より便利に使える冷蔵庫を世に送り出していくという職務を通じて、人々の暮らしを豊かにしていきたいですね。